保険診療の会議に出席

先日養老歯科医師会の社会保険担当理事として会議に出席してきました。岐阜県内のそれぞれの地区の同じ社会保険担当の先生方が集まって、正しい社会保険の取り扱いについて定期的に意見交換を行っております。そんなの開業している先生なら知ってて当り前じゃないの?と思われるかもしれませんが、国の財政が厳しい折、同じ治療をしていても以前は認められたことが今は認められない、といったこともあります。保険請求のルールも年々複雑になり、常に研修を行っていないとついていけない時代となってきております。

日本は国民皆保険制度を導入しています。保険料を納めることでかかった医療費の何割かを保険者が負担してくれる制度です。この制度のおかげで、ある一定の基準の治療を多くの人が受けることができています。しかし、保険診療にはルールがあり、このルールから外れたことはできません。そして、医療機関がルールを守っているか監督官庁はチェックをしています。保険診療のルールはたくさんあるのですが、ここでは書ききれませんので申し訳ありませんが割愛させていただきます。

その会議の中で興味深い話がありました。保険診療の審査をする機関があるのですが、今までは担当する審査員の方の知識と経験だけで審査していたのですが、今はそこに加えて過去の何百万というビッグデータを活用して審査を行っているというものでした。いずれはAIで審査する時代が来るかもしれません。

これがどういうことかというと、保険診療で推奨されている治療の流れから外れたことが認められない可能性が上がったと思います。人間だけが審査をするなら「流れは外れているけどこういうこともあるね。」というように認められたことでも、コンピュータは過去の統計から外れた内容ならまずエラーを出してきます。融通が利かないということですね。

本来治療の流れは個別に違って当たり前で、患者さんの通院事情や病気の状態によって流れが変わることは十分ありうる話です。しかし、保険請求をする用紙にはその様な個別の事情を書く欄はあまりありません。問題になりやすいのが

  • 一日でたくさんの治療をする。
  • ひと月に何十回も通院する。
  • かぶせ物をした後から歯周病治療を行う。

といったことです。3つ目のことは歯周病治療のガイドラインというものがあるので、それから外れているということです。つまり、歯ぐきの状態がよくないと型取りしてもうまくいかないし、かぶせた後で歯ぐきの形が変わるから合わなくなるでしょ?という理屈です。

いずれの場合も患者さんからよく聞かれる「回数を少なくしてほしい。」「一度にたくさんの治療をしてほしい。」「歯の掃除は後でいいから早くかぶせてほしい。」といった要望から反対の状態になっているのがわかると思います。ただ繰り返しになりますが治療方針は主治医と患者さんの同意によって決めることですので、特別な事情があれば短期間で治療を行うことなどもありますので、主治医の先生とよく相談をしてください。

保険の審査機関は審査の平準化を進めていきます。また、人間の負担を減らすためにコンピュータを利用した審査を加速していくでしょう。保険診療はどんどん画一的になっていくはずです。しかし、患者さんは全員違う人で状態も違えば、社会的背景も違います。全員に同じ内容がぴったり合うわけはありません。保険診療をする限りルールは破れませんが、範囲内なら医師の裁量権を行使することができます。どのようにしたいか、どのようになりたいかを主治医の先生とよく話し合って治療方針を決めましょう。

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