糖尿病と歯科治療

身体のこと

現在糖尿病とその予備軍は4000万人に達すると言われています。戦後間もないころには糖尿病は肺がんより珍しい病気とされていました。この半世紀で患者数は40倍に激増しています。そして絶対数の増加とともに大切な点は、糖尿病は高齢化とともに合併率が高まるという点です。70歳以上で糖尿病が強く疑われる者の割合は男性で27.3%、女性で17.2%に及びます。予備軍まで含めれば高齢者の半数近くが糖代謝異常の状態にあると考えられます。

歯科治療における糖尿病のリスク

日本糖尿病協会が発行している『歯科医師登録医制度認定テキスト』の中には、「一般に随時血糖値が200mg/dl以上の時には観血的処置は避けるべきである」と明記されています。ある研究によれば糖尿病既往の患者さんの平均血糖値は183mg/dlと高値でした。そして計測した血糖値が200mg/dl以上であった患者さんの割合は31.8%にも達したのです。ということは、歯科外来において糖尿病の既往がある患者さんの3割以上は観血的処置の適応外となってしまいます。観血的処置は血が出る処置ということなので、歯を抜いたりする以外に深い部分まで行う歯の掃除でも血が出ます。よって意外な治療内容でも体調によってできないこともありますので、血糖値の管理は大切です。

糖尿病と歯周病

歯周病とは歯ぐきが弱って歯を支えている骨が減って歯が揺れたり腫れたり痛みが出たりします。これは歯ぐきで炎症が起こっていろいろな症状を起こします。糖尿病も脂肪細胞で起きる炎症が関係しています。この2つは炎症という共通項があるので、場所が違ってもそれぞれに影響を及ぼしています。すべてというわけではありませんが、歯周病の治療により口の中の炎症が治まると血糖値が改善される場合もあります。

糖尿病治療における歯科治療の重要性

糖尿病治療には食事のコントロールが必須です。濃い味付けではなく薄味にしたり、過食を抑えるようによく噛んで満腹感を感じられるようにしたりと気を付けなければいけないことはたくさんあります。しかし、これらの食事療法の大前提としてあるのが、健康な味覚と咀嚼を持っていることです。味覚が狂っていれば薄味にすると味がわからないので濃い味付けにしてしまいます。よく噛んで食べましょうと言われても噛むべき歯がなかったり、穴が開いていてうまく噛めないようでは噛まなくてもいい食事ばかりになります。よって、糖尿病治療を行うのであれば必ず歯科治療を済ませてよく噛めて正しい味覚を取り戻しておかないとうまくいきません。

最後に

ここでは糖尿病については詳しくお話はしませんが、糖尿病と歯科は深く関係していることは以前から知られていました。しかし、あまり取り上げられることはありませんでしたが、ここ最近になって内閣の骨太の方針の中でも糖尿病や口腔の健康が触れられました。これからますます歯科治療の重要性が注目されるのではないかと思っています。

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