むし歯になってしまったら治療しないといけません。ただ痛みを取ることだけでは治療は終わりません。ここではむし歯の治療について書いていきます。
歯の構造

- エナメル質:歯の外側の一番硬い歯質です。
- 象牙質:歯の内側にあり、エナメル質に比べて軟らかいためむし歯が進行しやすいです。
- 歯髄:歯の神経。むし歯の進行でダメージを受けると痛みを感じます。
- セメント質:歯の根の表面にある歯質。通常は歯肉の下にあり見えません。
- 歯肉:歯ぐき。歯に歯垢がついていると赤くなったり腫れたりします。
- 歯根膜:膜という名前ですが実は靱帯で歯と骨をつないでいます。
- 歯槽骨:歯の周りの骨。歯周病や加齢により下がります。
むし歯の進行度

むし歯が歯のどの部分まで進行しているかによってC1からC4まで分類されます。その進行度によって治療方法が違います。
むし歯の治療法(C1)

歯の表層(エナメル質)だけのむし歯です。
【症状】痛みなどの自覚症状はほとんどありません。
【治療法】むし歯の部分を削り、コンポジットレジンという白いプラスチック製の材料を詰めます。
【通院回数】1回

むし歯治療法(C2)

歯の内部である象牙質まで広がったむし歯です。
【症状】 冷たいものや甘いものがしみるようになります。
【治療法】 むし歯の部分を削り、コンポジットレジンか、インレーという詰め物をはめ込みます。
【通院回数】 1~2回

インレーを入れる
C2~C3のむし歯の治療
むし歯が大きくなって神経に近づいてくるとしみる、何もしなくても痛いなどの症状が出ます。それは神経がダメージを受けているからですが、ダメージの程度により神経を除去するかが決まります。
歯の神経の役割
- 血管も一緒に通っているので歯に栄養を与えます。
- むし歯菌が歯の内部に入ってくるのを防ぎます。
- むし歯が進行しないように新たに歯質(象牙質)を作ります。
このような役割があるため、神経を残したほうが歯は長持ちします。
歯の神経を保護する治療法
悪くなった歯質を取り除き深くなった穴の部分に保護する薬を埋めておくことで、穴に近い所の神経から象牙質ができるため、神経を残すことができます。
神経を取らなければいけない状態とは
- 歯に激痛がある
- 噛んだ時の痛みが強い
- 夜になると特に痛くなる
- 冷たいものや熱いもので強くしみる痛みが長時間続く
- 根の先を押さえると痛い
以上のような症状があるときは神経を残すことができません。神経に回復不可能なダメージがあるということです。
神経を取ることのデメリット
- 歯がもろくなる
- 歯の色が変色する
- 再び痛くなることがある
- 治療期間が長くなり、費用もかかる
- むし歯の進行に気づかなくなることがある
神経を取るといろいろなデメリットがあります。しかし、
- 痛みから解放される
- むし歯の進行を止められる
といった側面もあります。神経がある場所は歯の内部の通路の役割もするため、深いむし歯の時、むし歯菌が歯の内部を通り越して根の先の顎の骨まで侵してしまうのを防ぐことができます。
神経はできるだけ残したほうがいいのですが、苦痛に耐えてまで残すべきではないと思います。神経のダメージの程度は患者さんご自身の感覚でしか判別できません。痛みの感じ方は個人差もあります。今どんな症状があるのかを教えてください。その状態によってどんな治療がいいのか考えていきましょう。
むし歯の治療法(C3)

歯の神経(歯髄)まで及ぶむし歯です。
【症状】 温かいものがしみたり、非常に強い痛みを感じます。
【治療法】 感染した歯質を取り除き、根の中をきれいに消毒した後、神経の代わりに薬をつめ、金属またはプラスチック製の詰め物をつめます。または、その上に土台を作りかぶせ物を作成します。
【通院回数】 2回以上

むし歯の治療法(C4)

歯の根の部分しか残っていないむし歯です。
【症状】 神経が死んでしまい痛みを感じなくなります。この状態を放置しておくと全身の健康にまで影響を及ぼす場合があります。
【治療法】 感染した歯質を取り除き、根の中をきれいに消毒した後、神経の代わりに薬をつめます。その上に土台を作りかぶせ物を作成します。または歯を抜いてブリッジ・入れ歯などの治療を行います。
【通院回数】 2回以上
まとめ
いかがだったでしょうか。むし歯が進行するにつれて治療内容が濃くなっているのがわかると思います。むし歯が小さいうちに発見できれば治療回数も少なく済みますが、痛みが無いので気づかないうちに進行してしまいます。定期的に歯医者さんで確認してもらいましょう。
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